「そろそろ塗り替えの時期かも」と思いながらも、外壁の状態がどの程度劣化しているのか、よく分からない。
そんなふうに悩んでいる方は、意外と多いのではないでしょうか。
特に最近、「外壁に緑っぽい汚れが出てきた」「日陰の部分だけ黒ずんでいる」など、カビやコケのような汚れに気づいたという声をよく聞きます。
一見すると、ただの汚れのようにも見えるこれらの症状。実は、外壁の劣化が進んでいるサインかもしれません。
今回は、「カビ・コケの発生がなぜ劣化のサインといえるのか」、そして「そのまま放置するとどうなるのか」について、分かりやすくお話しします。
カビやコケは、なぜ外壁に発生するのか?
外壁にカビやコケが生える原因は、大きく分けて2つあります。
1つは、日当たりや通気性の悪さ。もう1つは、塗膜(とまく)の劣化です。
家の北側や、建物と建物のすき間など、日差しが届きにくく湿気がこもりやすい場所は、どうしてもカビやコケが発生しやすくなります。
しかし、本来、塗装された外壁には防汚性が備わっており、簡単にはカビやコケが付着しないようになっているのです。
それにもかかわらずカビやコケが生えてきたとすれば、それは外壁を守っている塗膜がすでに弱ってきているというサインだと考えられます。
「汚れ」ではなく「劣化」として見るべき理由
「ちょっと汚れてるだけだし、そのうち洗えばいいかな」――そう思ってしまうのは無理もありません。
ですが、注意したいのは、汚れの下で外壁そのものが傷んでいる可能性があるということです。
たとえば、コケは微生物の一種で、根を張るようにして外壁に付着します。
表面だけを洗っても、外壁材の隙間や塗膜の割れ目に入り込んだ菌は残り、そこから再び広がっていくのです。
また、カビやコケが発生しているということは、すでに塗膜の防水機能が落ちている証拠。
そのまま放っておくと、壁の内部に湿気が入り込み、外壁材の膨れや剥がれ、さらには構造部分の腐食へとつながる恐れもあります。
カビ・コケの発生=再塗装のサイン?
カビやコケが見られるからといって、必ずしもすぐ塗装が必要とは限りません。
しかし、次のような症状が一緒に見られる場合は、塗り替えを検討するタイミングといえるでしょう。
- 手で壁を触ると白い粉(チョーキング)がつく
- 外壁の色が全体的にくすんで見える
- ひび割れや剥がれがある
- 雨が降ったあと、壁がいつまでも湿っている
これらの症状は、塗膜の劣化が進行している証拠です。
塗り替えを先延ばしにすると、結果的に補修費用が高くつくケースもあります。
カビ・コケを放置するとどうなる?
塗膜が機能していない外壁は、スポンジのように湿気を吸い込みやすくなります。
その状態が続くと、次のようなリスクが高まります。
- 外壁材の劣化(割れ・反り・剥がれ)
- 内部への水の侵入 → 雨漏り
- 室内の湿度上昇 → 結露やカビの原因
- 建物全体の耐久性低下
また、カビの種類によっては健康被害の可能性もゼロではありません。
外観の問題だけでなく、住まいと家族の健康にも関わることなので、見過ごせない症状といえるでしょう。
カビやコケの発生は、塗膜の防水性が低下している証拠です。放置すれば外壁材自体の劣化につながる可能性も。見落としがちな劣化症状を見極めるために、こちらのセルフ診断もご活用ください。
早めの点検が安心につながる
カビやコケを見つけたら、まずは外壁全体の状態をチェックしてみましょう。
症状が軽度であれば、洗浄のみで対応できるケースもありますが、多くの場合は再塗装が必要になります。
最近では、防カビ・防コケ効果のある塗料も増えてきています。
そうした塗料を選べば、再発のリスクも抑えることができ、より長くきれいな外壁を保つことが可能です。
「ちょっとした汚れ」こそ、早めに見直すべきサイン
カビやコケの発生は、外壁が「守る力」を失いかけているサインです。
たとえ見た目は些細でも、その裏では確実に劣化が進んでいます。
「そろそろ塗装が必要かも?」と悩んでいる方は、一度外壁全体を確認し、少しでも気になる部分があれば専門業者に相談してみてください。
適切なタイミングで塗り替えを行えば、大切な住まいを長く、美しく保つことができます。