「外壁の色あせが気になってきたから、そろそろ塗り替えをしようかな」
そんなふうに、塗装を考え始めるきっかけの多くは、やはり“見た目の変化”です。確かに、外壁の色がくすんできたり、手で触ったときに白い粉がついたりすると、そろそろ塗り替えのタイミングだと感じるものです。
けれども、いざ塗装工事の話を進める段階になると、つい見落とされがちなのが「付帯部(ふたいぶ)」の存在です。屋根、軒天(のきてん)、雨どい、破風板(はふいた)――これらは、建物全体を支え、守るための重要なパーツ。外壁だけでなく、こうした付帯部の劣化も見逃さずにチェックすることが、住まいを長持ちさせるポイントです。
付帯部のチェックとあわせて、外壁のチョーキング現象も見逃さないようにしましょう。
付帯部って、どこのこと?
「付帯部」とは、建物の中でも“外壁以外の部分”を指す言葉です。具体的には、以下のような場所が含まれます。
屋根の板金や棟(むね)部分
軒天(屋根の裏側)
破風板(屋根の端の板)
雨樋(雨水を流すパイプ)
水切り(基礎と外壁の境目)
霧除け(小さな屋根)
これらのパーツは、日々の生活の中で目が届きにくく、普段はあまり意識されません。
しかし実際には、雨や風、紫外線などの影響をダイレクトに受けており、外壁と同様、あるいはそれ以上に劣化が進みやすい場所でもあります。
なぜ付帯部の劣化を見逃してはいけないのか?
付帯部は、家の機能を守る“要(かなめ)”の部分。ここが傷んでしまうと、建物全体にさまざまな不具合が生じる可能性があります。
例えば…
- 雨樋が詰まったり割れたりすると、雨水があふれて外壁を汚す
- 破風板が劣化して雨水が染みこむと、屋根の内部が腐食する
- 軒天がカビたり剥がれたりすると、害虫の侵入口になることもある
つまり、外壁がどれだけきれいに塗り直されていても、付帯部がボロボロでは、本当の意味で家を守ることにはならないのです。
屋根や軒天などの劣化は、目につきにくい分、気づいたときには修繕費が高くなるケースも。
▶【外壁塗装の劣化症状を見逃さない!塗り替え時期を見極める簡易セルフ診断】を活用して、早めの対処を心がけましょう。
塗装のついでに、まとめてチェックするのが正解
外壁塗装を考えるとき、費用やスケジュールなど、どうしても外壁部分だけに目が行きがちです。
ですが、せっかく足場を立てて工事を行うなら、付帯部までまとめて点検・補修・塗装するのが断然効率的です。
足場代は、工事全体の中でも大きなコストを占める項目。
後から「やっぱり雨樋も塗っておけばよかった…」と感じても、再度足場を組むことになれば、追加費用がかさんでしまいます。
最初の段階で、「外壁と付帯部をトータルで診てもらう」ことが、コスト面でも、建物の健康面でも大きなメリットになるのです。
こんな症状が出ていたら要注意!
以下のような状態が見られたら、付帯部の塗装や補修が必要かもしれません。
- 屋根の板金が浮いている、錆びている
- 軒天に黒ずみや剥がれ、カビがある
- 雨樋が傾いている、割れている
- 破風板にひび割れがある、色が褪せている
- シャッターやフードまわりの塗装が剥がれている
外壁はきれいでも、こうした“細かい部分の劣化”が見えてきたら、早めの対策が必要です。
家の塗装を考えるとき、どうしても「外壁メイン」になりがちですが、住まいを守るのは外壁だけではありません。
屋根や軒天、雨樋といった付帯部もまた、家の大切なパーツの一部です。
塗り替えを検討中の方は、ぜひ「外壁+付帯部」という視点で、家全体をまるごと見直してみてください。
トータルでの点検・メンテナンスを行うことで、結果的に家の寿命を延ばし、後々のメンテナンスコストも抑えることにつながります。
「気になる部分は外壁だけじゃないかも…」
そう思ったときが、住まいと真剣に向き合うチャンスです。