外壁塗装を考えるとき、多くの人が「なるべく費用を抑えたい」と思うでしょう。けれど、あまりに安い見積もりには、思わぬ落とし穴が潜んでいます。
この記事では、失敗例をもとに、後悔しないためのポイントをわかりやすく解説していきます。
なぜ安すぎる見積もりは危険なのか?
外壁塗装の費用は、材料費、人件費、足場費用などさまざまな要素で成り立っています。
適正な価格には必ず根拠があるものです。
逆に、あまりに安い見積もりの場合は、どこかでコストが削られている可能性が高いと考えた方がでいいでしょう。
例えば、よくあるコストカットの例がこちらです。
- 塗料を薄めて使用し、必要量を減らしている
- 重要な下地処理工程を省略している
- 本来必要な保証をつけていない
- 経験の浅い職人が施工している
- 安価で品質の低い塗料を使用している
見た目はきれいに仕上がっても、数年後には剥がれやひび割れが起きるリスクがあります。結果的に、修繕費用がかさみ、余計な出費になってしまうのです。
「安かろう悪かろう」という言葉通り、適正価格より大幅に安い外壁塗装には何らかの犠牲が伴うことを理解しておく必要があります。
失敗事例① たった2年で塗装が剥がれた!
契約時の状況
築15年の一戸建てで、相場より30万円も安い見積もりを出してきた業者に依頼しました。担当者の説明も特に問題なく、工事も予定通り進み、見た目も綺麗に仕上がったため、満足していました。
トラブル内容
ところが、施工からわずか2年で外壁の南側を中心に塗装が剥がれ始めました。業者に連絡すると「自然劣化なので保証対象外です」と冷たい対応をされ、補修には別途料金が必要だと言われました。
別の業者に調査してもらったところ、下地処理が不十分だったことが判明。本来必要な高圧洗浄や古い塗膜の除去などが適切に行われていなかったのです。
結局、再塗装にかかる費用は、当初節約できたはずの金額をはるかに上回る出費となってしまいました。
対策
見積もり時には、具体的な工程や使用材料について詳しく説明を求め、曖昧な回答をする業者は避けましょう。
特に下地処理については、どのような方法で行うのか、どれくらいの時間をかけるのかを確認しましょう。
失敗事例② 次々と請求される追加料金
契約時の状況
「外壁塗装コミコミ50万円!」という魅力的な広告に惹かれて業者に依頼しました。契約までの対応も良く、営業担当者は「追加料金は一切ありません」と断言。
工事日程もすぐに決まり、スムーズに進むかに思えました。
トラブル内容
しかし、工事が始まると状況は一変しました。
「この部分は見積に含まれていません」
「下地の状態が悪いので補修費がかかります」
「シーリングの打ち替えが必要です」
と次々と追加請求が発生。断ると工事を止める言われ、やむなく承諾。
最終的には当初の1.5倍近くの金額を支払うことになりました。結局、市場相場よりも高額な費用となってしまい、大きな後悔を残しました。
対策
極端に安い見積もりには追加料金発生のリスクを潜んでいます。
契約前に「追加料金が発生する可能性のあるケースとその金額」を必ず確認しましょう。見積書に具体的に何が含まれ、何が含まれないのかを明確にすることが重要です。
失敗事例③ 塗装ムラで毎日モヤモヤ
契約時の状況
地元密着をアピールする個人業者に依頼しました。見積もりは非常に安く、担当の職人も感じの良い人物でした。
「小回りが利く」「大手よりも丁寧に仕事します」
という言葉を信じ、安心して任せることにしました。
トラブル内容
完成後、晴れた日に外観を見ると、日光の当たり方によって塗装のムラが明らかに目立つことに気づきました。
特に1階と2階の境目や窓周りに不自然な色ムラが・・・。
指摘すしても「天候の影響です」「塗料の特性です」などと言い訳され、適切な対応をしてもらえませんでした。
毎日目にする外壁の色ムラは精神的なストレスに。
対策
個人業者の場合、建設会社などの下請けとして工事を請け負うことが多く、住宅の塗り替え工事でも、下請けのやり方が一般的になっていることがあります。
そのため、丁寧な作業よりも、スピードを重視する業者も少なくありません。
失敗事例④ 「20年保証」の落とし穴
契約時の状況
「保証期間20年」を謳う業者に依頼しました。見積もりも相場より安く、長期保証があることで安心して契約しました。
「何かあれば20年間は無償で対応します」という言葉に信頼を寄せていました。
トラブル内容
施工後3年でひび割れが発生。保証を頼ろうとしましたが、細かい条件が付いていて適用されませんでした。
形だけの保証に頼った判断が裏目に出た典型的なケースです。
対策
保証内容を確認することが必要です。「20年保証」などの謳い文句に惑わされず、実際にどのような条件で保証が適用されるのか、除外事項は何かを確認することが重要です。
さらに、施工会社が20年後も存続しているかどうかも考慮すべき点です。
安すぎる見積もりに惑わされないためのチェックリスト
- 見積書に工程や材料の詳細が記載されているか確認
- 保証内容をチェックする
- 施工実績を確認する
- 複数の業者から見積もりを取る
- 工事内容や塗料について質問し、説明できない業者は避ける
- 現地調査を必ず実施してもらう
まとめ
外壁塗装は、大切な家を守るための重要なメンテナンスです。
確かに安さは魅力ですが、「なぜ安いのか」を冷静に見極めることが何より大切です。
価格だけでなく、使用する塗料の品質、職人の技術、アフターフォロー、保証内容まで総合的にチェックし、信頼できる業者を選びましょう。
少し高くても、しっかりした施工をしてくれる業者を選ぶことが、長い目で見れば一番お得な選択になります。
一生の財産である家だからこそ、妥協せず、最良の選択をしてください。