外壁塗装の見積もりを取ったとき、
「外壁塗装工事(一式)80万円」のような表記を見たことはありませんか?
一見するとシンプルで分かりやすそうに見えますが、
実はこの「一式見積もり」には大きな落とし穴があります。
今回は、一式見積もりの問題点と、トラブルを避けるための見極め方について詳しく解説します。
そもそも「一式見積もり」ってどういう意味?
「一式」の意味とは?曖昧な表現に要注意
外壁塗装の見積書を見ていると、「一式」という表現を目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。
この「一式」というのは、実は非常に曖昧な言葉で、
具体的には「まとめて全部でこの金額です」という意味を持っています。
一見するとシンプルで分かりやすそうに見えますが、
実際には作業内容や材料の詳細が書かれていないため、何にいくらかかっているのかが分からない状態なのです。
▶【要注意】「安い」に飛びつく前に!外壁塗装の失敗例まとめ
見積もりでよくある「一式」の記載例
外壁塗装の見積もりでよくある「一式」の記載例としては、
例えば以下のようなものがあります。
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- 外壁塗装工事(一式)80万円
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- 足場工事(一式)15万円
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- 付帯塗装(一式)15万円
このような「一式」の表記では、
実際に何の作業が含まれているのか、使用する塗料の種類や工事の範囲、塗装回数などが全く分かりません。
特にはじめて外壁塗装をされる方は「これで全部やってもらえるんだ」と思いがちですが、
実際には必要な工程が抜け落ちていたり、思わぬ追加費用が後から発生することもあるのです。
なぜ一式見積もりが問題になるのか?
一式見積もりが問題なのは、何が含まれていて、何が含まれていないのかが分からないため、トラブルの原因になりやすいからです。
例えば、契約後に「足場代は別料金です」「養生費が必要です」と言われ、追加費用を請求されるケースがあります。
また、どんな塗料を使うのかが明記されていないと、実際には安価で耐久性の低い塗料が使われる可能性もあります。
本来、見積書には作業内容、面積、単価、使用する塗料などが記載されているものです。
これらが詳細に書かれていれば、「何にどれだけ費用がかかるのか」をしっかり確認でき、後からのトラブルを防ぐことができるので安心です。
そのめ、「一式」とだけ記載された見積もりには、注意が必要です!
一式見積もりで起こりやすい3つのトラブル
この一式見積もりが原因で塗装工事を後悔されている方も多くいます。
実際のトラブル事例を交えながら、一式見積もりで起こりやすい3つのトラブルについて詳しく解説します。
トラブル①:後から追加料金が発生する
一式見積もりで最も多いトラブルが、工事中や完了後に追加料金を請求されるケースです。
例えば「外壁塗装 一式80万円」で契約したものの、実際には「シーリング工事は別途かかります」「屋根塗装も必要です」と言われ、最終的に追加で30万円を請求されたというケースです。
これは、一式見積もりでは何が含まれていて何が別料金なのかが明確でないために起こります。
業者によっては最初に安く見せるために必要最低限の作業しか入れず、後から追加を重ねていく手法を取る場合もあるので要注意です。
トラブル②:安い塗料や手抜き工事をされる
一式見積もりでは使用する塗料の種類やグレードが明記されていない場合が多く、結果として安価な塗料に勝手に変更されてしまうリスクがあります。
例えば「外壁塗装で耐久性の高いフッ素塗料を使ってくれると思っていたのに、実際はシリコン塗料のしかもグレードの低いものだった」という話を聞くことがあります。フッ素樹脂は15~20年、シリコン樹脂塗料は10~12年と、それぞれの塗料によって耐用年数(長持ちする期間)が異なります。
さらに、塗装の回数も「3回塗り」と書かれていない場合、実際には2回塗りで済まされてしまうことも。塗膜の厚みが不足すると、数年で色あせや剥がれが発生し、結果的に再塗装が必要になるリスクが高まります。
トラブル③:保証がつかず、トラブル時に対応してもらえない
意外と見落としがちなのが、保証の有無とその内容です。一式見積もりの場合、保証についての記載や説明がないケースが多く、いざ施工後に「塗膜が剥がれてきた」といったトラブルが起きても、「保証は付けていません」と言われてしまうことがあります。
また、保証があったとしても「どの範囲まで保証されるのか」「何年保証されるのか」が明確でない場合、いざというときに適用されず、結局修理費用を自腹で負担することになりかねません。
一式見積もりは、詳細が省かれている分、後からトラブルが発生しやすいという大きなリスクがあります。「安いから」「簡単そうだから」と飛びつく前に、必ず何が含まれているのか・何が含まれていないのか・保証はどうなっているのかをしっかり確認しましょう。
後悔しない外壁塗装のためには、見積もりの内容をきちんと理解し、質問を重ねることが何より大切です。
確認したい見積書のチェックポイント
トラブルを防ぐためには、以下のポイントがきちんと記載されているか確認しましょう。
- 足場代や養生費が含まれているか
- 付帯部(雨樋や破風板など)の塗装費が明記されているか
- 使用する塗料が記載されているか
- 外壁数量や単価が明記されているか
- 塗装の工程(下塗り・中塗り・上塗り)が書かれているか
これらが明記された内訳付きの見積もりは、手抜き工事の抑止力にもなり、施工中や施工後のトラブルも起きにくくなります。
詳細な内訳があるということは、業者側が責任を持って説明し、工事内容を明確にする意思の表れともいえます。逆に、内訳がない見積もりには「何を削っても文句を言わせない」という業者側の都合が隠れている可能性もあるのです。
外壁塗装の見積もりは、金額だけでなく「中身」を確認することが何より大切です。内訳のある見積書を選び、納得できるまで説明を受けることで、後悔しない塗装工事を実現しましょう!
正しい見積もりを出す業者の見極め方
外壁塗装の業者選びは、工事の仕上がりや満足度を大きく左右する重要なポイントです。特に「適正な見積もり」を出せる業者を見極めることは、後悔しないためにも大事になります。ここでは、信頼できる業者を見分けるための4つのチェックポイントを紹介します。
1.良い業者は「現地調査」を丁寧にする
正確な見積もりを出すためには、現地調査が不可欠です。信頼できる業者は、建物の劣化状況や面積、細かい傷み具合までしっかり確認し、必要に応じて写真を撮って、劣化診断書を作成し見積書提出時に説明してくれます。
一方で、現地調査が短時間で済んだり、「とりあえず大丈夫です」と曖昧な説明しかしない業者は要注意。
丁寧な現地調査ができる=お客様目線で誠実に対応する業者である可能性が高いのです。
2.価格だけでなく「保証内容」を必ずチェック
価格が安い業者を選びたくなる気持ちは分かりますが、保証内容も確認しましょう。
信頼できる業者は、保証期間や保証の対象範囲(例:塗膜の剥がれ、膨れなど)をしっかり説明してくれます。
「保証はありません」と言われたり、保証の内容があいまいな場合は要注意。保証は施工後のトラブル時に安心できる大切なポイントなので、価格と合わせて必ず確認しましょう。
3.「質問にしっかり答えてくれるか」が見極めポイント
見積もり内容について分からないことを質問した際、丁寧に説明し、納得できるまで対応してくれる業者も信頼できます。
逆に、「大丈夫です」「任せてください」としか言わず、具体的な説明を避ける業者は要注意。お客様の不安を解消する姿勢があるかどうかは、誠実な業者選びの大きなヒントです。
まとめ
外壁塗装の「一式見積もり」は、一見シンプルで分かりやすそうに見えますが、実は思わぬトラブルの原因になることがあります。
作業内容や材料、塗装工程などの詳細が書かれていないため、契約後に追加費用を請求されたり、期待していた内容と違う工事が行われることも少なくありません。
こうしたトラブルを避けるためには、作業内容・面積・使用する塗料・工程ごとの単価などがきちんと記載された「見積書」を確認することが重要です。
また、信頼できる業者を選ぶには、丁寧な現地調査を行っているか、保証内容が明確か、質問に真摯に対応してくれるかといった点も大切な判断基準になります。
見積書は、単なる金額の提示ではなく、「工事の内容」と「業者の誠実さ」を見極めるための重要な資料です。
分からない点があれば遠慮せず質問し、納得したうえで契約することで、後悔のない外壁塗装につながります。
信頼できる業者と出会い、しっかりと話し合いながら工事を進めていくことが、満足のいく仕上がりへの近道です。